恋人が猫になりました(光謙編)

黒部コーチの黒魔術が暴走して、巻き込まれた謙也さんが猫になってしまいました。
「えらいこっちゃ・・・。」
何でこないな事に。どえらい事態に、頭を抱えて座り込む。興味本位で黒魔術をせがんだのがあかんかった。肝試しした時みたいに、変な召喚魔法くらいで済むかなと軽く考えとった。今度はオサムちゃんが来たらどないしよー、なんて談笑してた俺らに向かって、まさか暴発した魔法が飛んでくるやなんて。想定外にも程がある。いち早く異変を察した謙也さんに、おもっくそ突き飛ばされて俺は無事。そして謙也さんは猫に。アホか、俺のせいやん。
「にゃー、」

座り込んだ俺の周りを、さっきから謙也さんが心配そうにグルグル周回してて、時々俺の足に擦り寄ってきてる。アンタ猫になってんねんで?発狂するレベルで混乱すると思うんやけど、何で自分よりも俺の方を心配してんねん。視線を落とすと、俺の膝に前足を置いて上目遣いでこっちを見る黄色い毛並みの猫と目が合った。
「謙也さん。・・・・・・はい、チーズ。」
「にゃ!」

可愛ええから、とりあえず写メっておく。謙也さんが可愛ええとか、ぶっちゃけ解せんけど、猫やしこの際どうでもええわ。大きな黒目と長い尻尾、キシキシやけど毛並みは鮮やかやし、これで上目遣いとかあざといねん。ブログのネタget!今日早速載せたろ。普段からバシバシ謙也さんを写メってたせいで、猫になってもカメラを向けたらノリノリでポーズを撮ってくれた。気楽やな。なんや俺も気ぃ緩んできたわ。こうなったんは問題やけど、多分放っといたら元に戻るやろ。謙也さんやし、大丈夫大丈夫。

撮った写メを見ようとしてんのか、俺のケータイに前足を伸ばす謙也さん。俺は無言で、スッと上にケータイを上げた。ほれほれ、届かへんやろ。ケータイを上げ下げすると、いい感じで翻弄されてる。高さに合わせてピョンピョンしてる謙也さん、ほんま面白過ぎやろ。着地した瞬間を狙って謙也さんを抱き上げる。そのまま肩に乗せて、今度は自分にカメラを向けた。
「謙也さん、も1回。はいチーズ。」

こうして俺と猫謙也さんの、レア過ぎる自撮り画像が完成した。
「結構ええ感じに写ってますよ。」
画像を見せてやると、謙也さんは満足そうに鳴き声を上げた。ええリアクションや。フサフサした喉元を撫でてやりながら、謙也さんが元に戻ったらこの画像送ったろ。と俺にしては珍しく優しい事を考えた。

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