幸村くんに壁ドンしてみた。by白石

なんか、世間では壁ドン?っちゅうもんが流行っとるらしい。壁に手をついて、自分と壁の間に人を閉じ込めるらしいんやけど、最近は好きな子に対してやるんがめっちゃ流行ってるんやって。そう財前に教えてもろて、ちょっと面白そうやったから、部屋で二人きりになった時に幸村くんにやってみた。で、やってみたんはええんやけど・・・。幸村くんを壁に押し付けた所で思った。ここからどないしよ。押し付ける所までは聞いた。ただ、その先どうするかっちゅうのを聞いてへんかった。どないしよ。キスとかすればええん?え、めっちゃハズいな。自分でやっといてなんやけど。

グルグルと思考を巡らせとったら、壁に押し付けた俺の腕に、幸村くんがするりと手を這わせてきた。
「随分面白いことをするね・・・?これ、流行っているのかい?」
幸村くんの顔が驚きから不敵な笑みに変わった。かと思ったら、服の襟を掴まれて、強引に顔を近付けられる。動けない俺の顎に、襟元から離れた幸村くんの指先がかかった。
「で?君はこれから俺を、・・・どうするつもり?」

そう言って妖しい目つきで見つめられて、心拍数が跳ね上がる。こういう時の幸村くんは、いつもより強引でちょっと意地悪になる。けど、やっぱかっこええな・・・。どうするつもり?そんなん、もうどうでもええわ。むしろ俺がどうにかされたい。

そんな俺の考えを読み取ったのか、幸村くんの笑みが深くなる。壁に付いていた手が絡め取られて、さらに体を引き寄せられて。そのまま、ゆっくりと唇が近づいてくるのを見て、俺はそっと目を閉じた。

inserted by FC2 system